うしお

1978年生まれ。美術家。

うしおは様々なメディアを用い、ゲームに用いられる道具や設定、ルール、言葉、イメージを多用し、再構成する手法で「思い通りにならない状況」を可視化する作品を制作している。代表作はチェスや囲碁、オセロといった白黒の駒を使うボードゲームが“白黒つけられない”作品のシリーズなど。

近年はgallery N 神田社宅(2018年)における個展「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」のほか、〈引込線/放射線〉所沢市周辺(2019年)「TERATOTERA祭り2019 〜選択の不自由〜」三鷹駅周辺(2019年)、「あそびのじかん」東京都現代美術館(2019年)、「ここから2-障害・感覚・共生を考える8日間」国立新美術館(2018年)などの展覧会に参加。

ほか、うしおは銀行から受け取ったばかりの千円札(新札)の写真と記番号をTwitterに記録し、自分が使った千円札との再会待ちをしている。

2019年には小倉正史氏が蓄積した国内外の現代アートの資料及び蔵書の整理に取り組む「公開整理」とワークショップ等を開催した。

うしおは2019年の〈引込線/放射線〉に実行委員として参加した。「引込線」には2017年に引き続き2回目の参加となる。
旧市立所沢幼稚園会場 では小倉正史氏の写真資料や蔵書の一部を会場に置き、来場者が蔵書を手に取って読み、また「公開整理」の様子を知ることができる展示を行った。
〈引込線/放射線〉サテライトでは名古屋市のgallery Nにおいて、石井友人氏・土屋貴哉氏・水谷一氏らと、うしおの企画による展覧会「距離と伝達」を開催した。
「距離と伝達」終了後には、うしおを含む4名の各作家自身の制作による出展作品資料も同梱した展示記録集を発行した。

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写真(左上下):長沼宏昌氏
写真(右):植村タカシ氏

うしおは2019年11月に「TERATOTERA祭り2019」に参加した。「TERATOTERA祭り2019」では、同年夏にうしおが東京都現代美術館で展示した作品《不如意の儀》のコンセプトを引き継いだ《不如意のティーサロン》を企画し、TERACCOらの協力を得て、3日間限定のミックスティーのお店を運営した。
不如意とは思い通りにならないことを意味するが、このティーサロンではカードを3枚くじ引きした中から自分が飲みたいお茶を選べるが、さらに他人が同様の方法で選んだお茶とミックスしたものが提供される。
お客が飲み終わったあとのティーバッグは、テーブル中央の白い布製の造作物の上に置かれ、白い布には様々なミックスティーが作り出す淡いシミが残された。
《不如意のティーサロン》では小倉正史氏やアーティストの山岡さ希子氏(IPAMIA)らを招いて毎日ワークショップ等のイベントを催し、お茶を飲みつつ小倉氏の「公開整理」やアーカイヴについて理解を深め、交流する場を設けた。

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写真:阪中隆文氏

2019年夏に東京都現代美術館で開催された「あそびのじかん」に、うしおは参加作家の一人として作品《不如意の儀》を展示した。
《不如意の儀》はヘロドトスの『歴史』にある一節(大規模な飢饉の時、ゲームを国策として用いた国家の顛末)から着想を得て、人類の長い歴史の中で遊びや様々な表現がどのように展開してきたのか/できるのか. という視点で展開した作品。
展示室内には6つの分岐点があり、鑑賞者が左右いずれかに進む道を選ぶことができる。分かれ道の先には映像、写真、謎のスイッチと家電類、手話や点字、ベッドなどを使った11の異なる体験型作品やワークショップを配置した。
「あそびのじかん」では関連プログラムとして、美術評論家の中尾拓哉氏とうしおによるレクチャー「遊び×美術史」、関連イベントとしてOtOMOの倉本大資氏とうしおによるワークショップ「あそびを発明しよう!micro:bit(マイクロビット)アイデアソン」を実施した。
展覧会終了後には展示記録&コンセプトポスター『うしお《不如意の儀》あそびのつづき』(デザイン:島田寛昭氏)を発行した。

うしお作品《不如意の儀》参考写真
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うしお作品《不如意の儀》参考写真

写真:白井晴幸氏

2018年6月にgallery N 神田社宅で開催したうしおの個展では、船や移動がテーマの作品での構成となった
レゴと懐中電灯を用いて、白い回転する球体上に船をプロジェクションした作品、ネット通販で購入した木製棺桶を一旦解体して簡易ボートにリメイクした作品、2016年9月19日開催の移民と難民に関するサミットで採択されたニューヨーク宣言の序文を使った作品、拾った石やペンで書き加えた人影と船を組み合わせることで人々の記憶や物語と結びつけようとするような作品が並んだ
展覧会初日には美術評論家の中尾拓哉氏とうしおによるトークを開催した。

うしお作品写真
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うしお作品写真

2018年3月に国立新美術館で開催された「ここから2-障害・感覚・共生を考える8日間」に参加したうしおは、ユニバーサルデザインのオセロを使った作品《Where Are You?》を展示した。
《Where Are You?》は、オセロ「のような」ゲームを、二人の人物がひたすらプレイする手元を撮影した作品で、駒を触り裏返す音、駒を置いた位置を宣言するプレイヤーの声(及び二人の会話)も聞こえてくる。実は映像中の二人のプレイヤーはアイマスクを着用して、ユニバーサルデザインのオセロをプレイしている。しかし駒の裏表両面をうしおが白黒半々に塗装したことにより、視覚によって戦況を追う鑑賞者の目には二人のプレイ空間とは別の景色が見えることになる。
本展示ではモニターを設置した壁の裏側にテーブルを設置し、鑑賞者は壁の裏側で実際に映像に使用した駒と盤を触れることができるようにした。

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うしお作品写真

うしおは2014年からTwitter@usiotokojp上に千円札(新札)の写真とテキストだけをひたすらアップロードし続けている。
うしおは生活上の必要に合わせ、現金が必要になったら銀行に行き、新札の千円札を受け取ってくる。そして新札の千円札を使用する前には、写真と記番号をTwitterにアップロードして記録する手順を踏んでいる。
うしおが他人から千円札を受け取った場合には、記番号をTwitter上の記録と照合し、千円札と再会する機会を待っている。

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うしお作品写真
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【ご注意】
日本銀行券と紛らわしい外観を有するものの製造又は販売は「通貨及証券模造取締法」により禁止されています。
うしおが撮影し、Twitter等に掲載している日本銀行券(紙幣)の画像データを印刷する行為は、同法に抵触する可能性がありますので、絶対におやめください。
※デジタルカメラ等で撮影したこれらの画像データをホームページやブログに掲載する行為自体は「通貨及証券模造取締法」の取締りの対象とはなりません。
財務省 紙幣や硬貨の写真やイラストを印刷物に使用したのですが、どうしたら良いですか

うしおは小倉正史氏が長年の取材・研究等で蓄積してきたフィルムや蔵書の一部を公開整理するワークショップを、2019年に実施した。ワークショップは当初「あそびのじかん」展の展示の一部として小倉氏本人と長沼宏昌氏の協力のもと開催したが、次いでうしおが参加する<引込線/放射線>、「TERATOTERA祭り2019」でも公開整理に関する展示やイベントを開催した。
ワークショップではフィルム類のデジタル化や蔵書の目録化などの技術的なアプローチ、バラバラになって個別情報が抜け落ちてしまった資料の照合が試され、個人が蓄積した研究資料を「楽しみながら」共有(残していく)可能性を探求した。
また、このワークショップに関連したミニイベントとして井戸端会議を開催。井戸端会議はゲストとして吉川陽一郎氏、
藤村克裕氏、山岡さ希子氏、TERACCO(テラッコ)をお招きし、ゲストがコレクションやアーカイブしているものを披露し語り合う内容となった。

[開催記録]

  • 2019年7月20日-10月20日 東京都現代美術館「あそびのじかん」にて
    主にフィルム類のデジタル化、蔵書(栗鼠文庫と命名)の目録化を行った。
    ミニイベントとして井戸端会議を2度実施、ゲストに吉川陽一郎氏、藤村克裕氏
  • 2019年10月27日-11月4日 所沢市<引込線/放射線>旧市立所沢幼稚園にて
    主にフィルムと書籍、説明パネルによる展示を行った。
  • 2019年11月8日-11月10日 三鷹市「TERATOTERA祭り2019」にて
    デジタル化した資料を見ながら、本人を交えてのワークショップを行った。
    ミニイベントとして井戸端会議を2度実施、ゲストにteraccoメンバー、山岡さ希子氏
    蔵書(栗鼠文庫)の譲渡会を開催

 

これらの取り組みの経過は、ブログ「公開整理をする」に記録、公開されている。
2020年以降のワークショップ等継続については調整中。

―2020年3月1日 小倉正史さんはご逝去されました。ご冥福をお祈りします。―

うしおワークショップの様子
うしお井戸端会議の様子
うしお公開整理の様子

写真(左上・右):長沼宏昌氏
写真(左下):阪中隆文氏